贈与税の非課税規定から考える「贈与」

平成27年1月から贈与税が改正されます。

直系尊属からの贈与と、それ以外の贈与とで、税率が変わり、直系尊属からの贈与で3,000万円以下の贈与で税率が引き下げられます。(なお、4,500万円超は増税になります)

詳しくは、国税庁HPを参考してください

 

このように国では、政策として直系尊属からの贈与を推奨しています。

ただ、贈与する前に立ち止まって、相続税の非課税の規定を利用してはいかがでしょうか。

 

(以下抜粋)

第21条の3 (贈与税の非課税財産)

 次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。
 ◆2  扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの


 1の2-1(「扶養義務者」の意義)

 相続税法(昭和25年法律第73号。以下「法」という。)第1条の2第1号に規定する「扶養義務者」とは、配偶者並びに民法(明治29年法律第89号)第877条((扶養義務者))の規定による直系血族及び兄弟姉妹並びに家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族をいうのであるが、これらの者のほか三親等内の親族で生計を一にする者については、家庭裁判所の審判がない場合であってもこれに該当するものとして取り扱うものとする。
 なお、上記扶養義務者に該当するかどうかの判定は、相続税にあっては相続開始の時、贈与税にあっては贈与の時の状況によることに留意する。(平15課資2-1追加、平17課資2-4改正)

また、平成25年12月に国税庁から「生活費又は教育費に関するQ&A」が出ています。

 

↑ このように見ていくと、扶養義務者相互間において(直系血族間で)、生活費・教育費に充てるために通常必要なものには、贈与税を課税しないことになっています。

直系血族間ですので、おじいちゃんが孫の生活費や教育費を払う場合が当てはまります。

 

こう言った取り組みを他の税理士法人で行っているそうです。

なるほどなぁと思いました。さすが、資産税に特化している事務所ですね。

 

なお、「生活費又は教育費に関するQ&A」については、平成25年12月に公表されていますが、これは、祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度ができたため確認のため公表されたものだと思います。

 

この教育資金一括贈与非課税の制度は、一般的には信託を利用したものです。

例えば、祖父が孫のために行う場合は、祖父と孫と孫の親権者が信託銀行に行って、委託者=祖父、受託者=信託銀行、受益者=孫の信託契約を結び、祖父が孫の口座に教育資金の贈与を行います。

このような手続きを踏んだ贈与は、1,500万まで非課税となります。(詳細は国税庁HP)

ただし、孫が30歳になっても使い切っていない場合には、この口座の残高に贈与税が課税されます。(なお、手続きは面倒なようですが、非常に人気のある制度のようです)

 

このような「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」ができますが、もともと扶養義務者間での生活費・教育費の贈与には、贈与税を課していませんよという確認のため公表したものです。

 

ここまで見てきて、、、資産家の意見を聞いてみたいです。

 

おじいちゃんが元気ならば、教育費などを直接学校に払ってあげると喜ばれるでしょう。

おじいちゃんが元気が無くなってきているのであれば、使う見込みのある範囲で教育資金の非課税制度を使って相続財産から除くというのもありなのかと思います。